動物虐待動画に起因する損害賠償請求訴訟と法規制の必要性

弁護士(東京) 竹村公利

はじめに

 2020年12月1日、猫を虐待した動画を見て精神的障害を負った原告6名が、さいたま地方裁判所に損害賠償請求訴訟(以下、「本件訴訟」という)を提起した。

 本件訴訟は現在継続中ではあるが、現時点での事実関係や事情、原告6名の代理人としての考察が動物虐待動画に対する法規制と広く動物愛護活動への一助となることを願い、本稿を寄稿するものである。

 訴訟内容や、動物愛護法の状況等の記載・表現については、本稿作成時点の状況、制約、調査の範囲に基づく記載・考察であり、また、スペースの関係上、詳細な説明は割愛し、簡潔な記載に留める。

1 動物虐待事件の発生と虐待動画の公開

 2016年3月から約1年間にわたり、捕獲器で捕まえた13匹もの猫に、熱湯や爆竹を浴びせる、首を縛って熱湯の中に浸ける、ホースを使い肛門から水を噴射する、歯を折る、バーナーで火を浴びせるといった残虐な虐待行為を繰り返した動物虐待者(以下、「虐待者」という)自身が、その様子を撮影してインターネットにアップロードするという衝撃的な事件が起きた。

 本事件は、その残虐性や虐待者の属性から、世間に大きな衝撃を与えることとなり、・・・

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