いわゆる健康食品アマメシバ事件(名古屋地判平成19年11月30日)
─食経験をもたない新食品の欠陥と対策の方向について─

消費者安全問題研究会 土庫澄子

 本件は、健康雑誌に医学者が書いた記事を読んだことをきっかけにアマメシバの加工品(本件あまめしば)を摂取した母親と娘が肺の難病である間質性細気管支炎に罹患したといういわゆる健康食品の事故で、疫学的方法等を用いて欠陥を認めたほか、雑誌を発行した出版社の過失を否定しつつ、記事を執筆した医学博士の過失を認めた事件である。

 あまめしば(天芽芝)とは、マレーシア、ボルネオなど東南アジア原産のトウダイグサ科の野菜で、学名をサウロパス・アンドロジナスという。

1 事案

 原告Aは事故当時70歳代の女性である。原告BはAの娘で事故当時50歳代である。Aは平成13年8月、新聞記事の広告を見て本件雑誌を購入し、被告C社に商品名を「久司道夫のあまめしば」(本件あまめしば)を注文し、平成13年8月から同年12月まで摂取した。AはBに本件雑誌を見せ、本件あまめしばの記事を紹介し、Bは同記事を読んでビタミン、ミネラルなどの栄養補給のために平成13年9月から同じ年12月まで本件あまめしばを摂取した。本件あまめしばは、野菜あまめしばを加熱して乾燥・粉末化した後に減菌処理したものである。Aは平成14・・・

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