預託法の抜本的改正

弁護士(神奈川) 石戸谷 豊

はじめに

 政府は、2021年3月5日、預託法・特商法・消費者裁判手続特例法等の改正を内容とする「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を国会に上程した。同年5月18日に衆議院で採択され、6月9日、参議院で可決し成立をした(施行は公布の日から1年以内の政令で定める日)。

 ここに至る経緯については、消費者法ニュース126号に特集があり、筆者からは「販売預託商法に終止符を打つために」(5頁)を掲載しており、その末尾に預託商法に関する消費者法ニュースの記事を紹介している。そのうち筆者の「販売預託商法は原則禁止へ」(125号134頁)を踏まえ、法案の概要を紹介する。

検討会報告書から法案へ

 2020年8月19日、消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」は、販売預託商法を原則禁止とする報告書(以下、「報告書」)をとりまとめた。報告書は、販売を伴う預託取引について、本質的に反社会的な性質を有するとして、原則禁止とする方向を打ち出した。これにより消費者庁は、それまでの消極姿勢を転換し、再発防止へ大きく・・・

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