フリーライター 白井康彦
全国29カ所で展開されている「いのちのとりで裁判」。生活保護基準切下げの行政処分の取消しを求めた「政権に真っ向から挑戦する」行政裁判です。原告側が極めて勝ちにくいタイプの裁判と言えます。前回の原稿では、2021年2月22日の大阪地裁判決が歴史的勝訴だったことを報告しましたが、同年3月29日の札幌地裁判決、5月12日の福岡地裁判決は敗訴でした。2020年6月25日の名古屋地裁判決も敗訴だったので、2021年夏段階では、原告側の1勝3敗。裁判闘争の厳しさに直面しています。
厚生労働省の物価指数計算が間違いかどうかが最大の論点になっています。厚労省は2013年1月に生活扶助基準改定案を公表。改定の最大理由は、消費者物価指数(CPI)の下落率を改定率にそのまま反映させる物価スライドでした。厚労省は、同省が編み出した「生活扶助相当CPI」が、2008年は104.5、2010年は100、2011年は99.5だったとしました。2008年〜2011年の下落率は4.78%。筆者はその下落率を「意図的に大幅に膨らませた下落率」であるとして「物価偽装だ」と厳しく追及し続けているのです。・・・
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