八尾市母子餓死事件
—生活保護行政改善を目指す調査団の活動—

弁護士(大阪) 青木克也

1 事件の概要

 2020年2月22日、八尾市で生活保護を受給していた当時57歳の女性と、同居していた当時24歳の長男の2名が、アパートの居室内にて遺体で発見された(以下、「本件」)。所持金はほとんどなく、ガスと水道は止められ、冷蔵庫内にはほとんど食べ物が残っていなかった。

 生活保護を利用していながら、母子が餓死同然の状態で最期を迎えた(直接の死因は母親が急性薬物中毒、長男が低体温症)ことは、社会保障の専門家たちに大きな驚きをもって受け止められた。そして、本件の原因解明が進むにつれ、母子が死亡するまでの間、八尾市から異常な対応を受け続けてきたことが明らかになった。

 まず、母子が生活を共にしていたにもかかわらず、八尾市は長男が(その実態がないにもかかわらず)祖母宅に転出したという理由で世帯員削除し、母親の分しか生活保護費を支給していなかった。祖母や長男の友人によれば、母子は生前、「長男の住民票だけ祖母宅に移すよう市から言われた」と語っていたとのことである。

 次に、母子は過去に、八尾市から転居費用として支給された約20万円の金銭を別の用途に支出したところ、八尾市からその返還を・・・

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