給料ファクタリング事業者に対する共通義務確認訴訟判決について

埼玉消費者被害をなくす会副理事長 弁護士(埼玉) 長田 淳

1 はじめに

 当会は、2020年6月8日に、給料ファクタリング業を営む株式会社ZERUTAに対して、集団的消費者被害回復請求制度の第一段階の手続きである共通義務確認請求訴訟を提起した。当会としては、特定適格消費者団体の認定を受けてから最初の事案であり、現在まで唯一の訴訟提起事案である。

2 給料ファクタリング業者に対して訴訟を提起するに至った経緯

(1)事業者の事業の概要

 給料ファクタリング業者が行っているのは、違法な高金利金融であるが、出資法や貸金業法の脱法を意図したものである。具体的には、給料のうち一定額を給料ファクタリング業者に譲渡する賃金譲渡契約書を締結する。その際、手数料を控除し、たとえば給料のうち、5万円を4万円で買い取る契約をする。そして、この譲渡した分の5万円の給与債権について、給料ファクタリング業者は、顧客に対して無償で債権回収を委託する。消費者が、回収した金員を期日までにファクタリング業者に振り込むことを条件に、ファクタリング業者は、勤務先に対して債権譲渡通知を送付しないという契約内容である。これは、4万円の金員に1・・・

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