書面交付義務は消費者の権利の原点である
─書面交付義務の規定の削除(書面交付義務の立法を求める)─

弁護士(大阪) 植田勝博

1 消費者取引の書面交付義務とクーリング・オフの権利は、消費者保護の原点である。これが特定商取引法(旧訪問販売法を核として取引対象の拡大)から、この規定が削除されてWeb化にするとの改正が2021年6月にされた。消費者保護の基本的権利をなくする暴挙とも言える。この権利を奪う施策の必要性、合理性が認められない。消費者は、利権に砂粒の如くもてあそばれる存在とも言える。消費者庁、消費者委員会において、なぜこの改正の阻止がされなかったのか大いに疑問である。

2 消費者の基本的権利としての書面交付義務

 訪問販売は、抜き打ち的に消費者に勧誘契約をさせ、業者がどこの誰か分らず、商品内容さえ本人に不明瞭な取引が少なくなかった。業者の氏名、住所をまず明らかにさせ、商品内容と金額を明瞭にして、はじめて契約の効果を与える。業者の説明義務の履行、消費者の権利を闘う武器の原点である。  書面交付義務は、業者の契約内容を明示させ取引内容の確認と、消費者の軽率な判断の見直しをする熟慮期間(クーリング・オフ)を法律で強制していた。昭和60年ごろ、訪販法の闘いは、書面交付義務を土台として、クーリング・・・・

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