第12章 電子商取引

理化学研究所革新知能統合研究センター客員主幹研究員 国立情報学研究所客員教授
大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)招へい教授 国立がん研究センター客員研究員 弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 はじめに

 電子商取引を巡る消費者法の進展は目まぐるしく、2020年も、様々な動きがあった。特に、電子商取引が行われる、インターネット上のプラットフォームであるデジタルプラットフォームを巡って多くの政策の進展があった。ここでは、2020年における、デジタルプラットフォームを巡る立法、政策の動きをお伝えする。

2 デジタルプラットフォームの定義・分類

 プラットフォームの定義については、情報法の基本書においても、定義困難であるとされてきたが1、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(令和2年法律第38号、以下、「取引透明化法」という)は「デジタルプラットフォーム」(以下、「DPF」という)を定義し、①インターネットを通じて提供、②多面市場性、③ネットワーク効果を要件とした(取引透明化法2条1項)。②と③は説明が必要であろう。多面市場とは、複数の顧客群が相互に関係し、プラ・・・

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