第11章 宗教

弁護士(大阪) 加納雄二

 この1年間に法ニュースに掲載された分にカルト問題はなく、一般的な消費者問題判例ともいうべきものだけです。

〔1〕大阪地裁堺支部令和元年5月27日判決

〔2〕控訴審大阪高裁令和元年12月25日判決

 事案の概要は、開運等の効果を謳い「天珠」(てんじゅ)というアクセサリーを被控訴人(34歳・男性)に対し6回にわたり高額で売り付けた事案について、不法行為(使用者責任)を認めたもの(過失相殺なし)。

 支払った代金は、契約1「九眼天珠」9万2880円、契約2「龍眼天珠」108万円、契約3「二眼天珠」108万円、契約4「九眼天珠」21万6000円、契約5「三眼天珠」32万4000円、契約6「無限天珠」21万6000円(合計300万8880円)。

 地裁判決は、契約2以降、高裁判決は、契約3以降を不法行為として損害賠償請求を認めた。それぞれの判決の認定の根拠、内容は、判例和解速報をご覧いただきたい。

 カルトに対する献金被害等の損害賠償について、例えば統一協会による長期間にわたる多数の勧誘、献金行為を一連の行為としてとらえ、目的の違法性、手段の違法性、結果の違法性それぞれをきっちりと認定の上違・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。