第10章 独占禁止法・景品表示法

弁護士(大阪) 川村哲二

第1 はじめに

 本稿は、概ね令和2年度(以下「昨年度」)及び執筆時点までに公表された独禁法・景表法に関連する判決、審決、排除措置命令、措置命令等の内、消費者問題と関連が深いものを中心に概観する。公取委および消費者庁の公表資料等に基づいて記載しているが、詳しくは公取委、消費者庁の正式な処理概要を確認いただきたい。

第2 独占禁止法

1 公取委による排除措置命令、課徴金納付命令など

(1)私的独占

 昨年度、公取委は、空港における航空燃料の販売に関する件につき、排除措置命令および課徴金納付命令を出した。

(2)不当な取引制限(カルテル)

 昨年度、公取委は、リニア新幹線関連工事、警察官制服類入札、高校制服販売に関する件につき、それぞれ排除措置命令を出し、この内、リニア新幹線関連工事の件については課徴金納付命令を出した。

 その他、独立行政法人の発注する医薬品の入札談合事件に関して、医薬品事業者3社と従業員らに対して刑事告発を行っている。

(3)不公正な取引方法

 昨年度、不公正な取引方法に関する排除措置命令、課徴金納付命令は出されていない。ただし、不公正な取引方法に関して、次項のとおり、確約手・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。