中国における訪問販売・マルチ商法の規制

弁護士(大阪) 薬袋真司

1 はじめに

 中国(中華人民共和国)において、訪問販売やマルチ商法がどのように規律されているかについては、あまり知られていない。

 訪問販売・マルチ商法は、いずれも、法律(全国人民代表大会またはその常務委員会が定める狭義の法律)ではなく、国務院令(日本の内閣が定める政令に相当)によって規制されている。中国では、訪問販売の規制とマルチ商法の規制は沿革的に密接な関係を有しており、この点が中国における訪問販売の規制の特徴の一つとなっている。そこで、中国における訪問販売の規制とマルチ商法の規制をあわせて紹介することとしたい。

2 沿革1

(1)中国において訪問販売は、1990年代に、外資系のマルチ商法業者の活動によって、急速に普及した。訪問販売(特に直接販売〔ダイレクト・マーケティング〕)とマルチ商法が必ずしも明確に区分されていなかった。このような中、詐欺やネズミ講的な活動によりトラブルが多発し、中国政府は1994年にマルチ商法の規制を開始した(国務院工商行政管理局通知1994年223号)。しかし、その後もマルチ商法のトラブルがあとを絶たなかったため、政府は、重ねてマルチ商法を禁・・・

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