主婦連合会参与 佐野真理子
長引くコロナ禍は、消費生活に重大で深刻な影響を与えています。政治判断、行政対応、消費者への情報提供、相談受付……。どの分野でも後手にまわる施策が目立ち、多元的対応が混乱する消費行動に反映されています。食品表示では施策の遅れが特に顕著です。
(Ⅰ)急速なデジタル化で「取り残される」消費者
消費者庁は、2020年12月から21年1月にかけて加工食品の表示デジタル化に向けた検証調査を、東京、千葉、徳島のスーパー店頭で実施しました。食品表示は容器包装への記載が原則ですが、①食物アレルギー表示など安全性に関する表示や分かりやすさによる消費者の商品選択、②容器包装の表示をデジタルツールで代替することが可能か、などを目的とした調査です。
消費者庁は、食品メーカーから提供された表示データからデータベースを作り、消費者は食品のバーコードにスマートフォンをかざすとデータベース上の表示を見ることができます。今回表示データを提供した協力企業は大手食品メーカー23社でした。
問題点として、下記5点が挙げられます。今後、消費者庁が予定している検証調査の結果報告を注視したいと思います。
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