茶のしずく事件大阪高裁和解について

茶のしずく石鹸被害救済大阪弁護団事務局長 弁護士(大阪) 日髙清司

1 はじめに

 2020(令和2)年12月18日に大阪高裁第3民事部において、茶のしずく石鹸小麦アレルギー被害事件の和解が成立した。同高裁に控訴した原告は20人。提訴以来8年9カ月が経過し、被告3社が遺憾の意を示したうえで、一人あたり被告3社から合計584万円が支払われ、大阪訴訟案件はすべて終了した。

 2011年7月に、国民生活センターによって危害情報が公表され、大阪で、また、全国各地にも弁護団が結成され、2012年4月に、東京をはじめ全国の弁護団と共に大阪でも提訴した。本件被害の顕在化から大阪高裁での和解に至るまでの経過を振り返りつつ、今回の和解の意義と課題について述べる。

2 旧茶のしずく石鹸による小麦アレルギー被害の発生

 株式会社悠香(現悠香ホールディングス株式会社、本社福岡県)が2004年3月頃から、通称「茶のしずく石鹸」を、著名な芸能人を起用して宣伝し、主に通信販売により日本全国に販売した。2009年には本件石鹸使用者が小麦アレルギーを発症していることに気づいた医師が、悠香に問い合わせたり、学会に症例報告するなどしたが、・・・

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