88歳生保募集人の詐欺実態
─判明した第一生命の杜撰な管理─

弁護士(東京) 濱本凌汰

第1 はじめに

 私は、第一生命被害弁護団の一員として2020年7月より、第一生命の元嘱託社員(以下「元社員S」といいます)による詐欺被害事件の被害救済と再発防止に向けて活動を行っています。そこで、今回は、その詐欺被害の概要などをご報告いたします。

第2 事件の概要

1 元社員Sについて

 元社員Sは、第一生命山口支社徳山分室(山口県周南市)で50年以上保険募集人として勤務していました。同人は、実績優秀として第一生命より特別待遇を受けており、平成29年7月には、第一生命から生保の募集人で初めて「特別調査役」の肩書を授与され、さらに「上席特別参与」の肩書まで授与されていました。また、「S(元社員の氏名)特別調査役室」と掲げられた専用の部屋も与えられていました。

 さらに元社員Sは、地元政財界にも絶大な影響力を持ち、周南市の歴代市長、株式会社山口銀行頭取等が発起人となって、祝賀会が再三開催され、その都度地元の政財界と顧客有力者約300人が参加していました。このような祝賀会には、第一生命の幹部ら十数名も参加し、第一生命取締役専務執行役員等があいさつを行っていました。

2 現金の詐取方法・・・

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