2020年「賃貸住宅管理業適正化法」について

弁護士(大阪) 増田 尚

告示による任意の登録制度

 日本の住宅ストックのうち民間賃貸住宅は約1530万戸(約28%)を占める。もっとも、賃貸人は、個人や零細事業者が多く、自ら管理をしている割合は約2割で、約8割が、賃貸住宅の維持管理や、家賃等の回収などの業務を業者に委託して行わせているのが実情である。このように、賃貸人から、委託を受けて管理業務を行っているのが賃貸住宅管理業者である。

 賃貸住宅管理業者は、賃貸人との間に委託契約を締結し、管理報酬を得て営業をしている者もいたが、多くは、仲介・代理をした宅建業者が、賃貸事業者向けのサービスとして、共用部分の管理や修繕等の取次ぎを行ってきた。そのため、賃貸人の間で、管理業務をめぐってトラブルがあり、国土交通省としても、1994年3月に、賃貸住宅標準管理委託契約書を策定するなどして、契約による受託の範囲の明確化をするよう努めていた。他方で、賃借人にとっても、賃貸住宅管理業者が、賃借物件の管理や修理が十分でなく、どこまで応対してくれるのかが不明確であるなどの不満につながっていた。また、更新時の更新料等や、明渡時の原状回復・敷金返還などの金銭トラブルが問・・・

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