日本学生支援機構「一括繰り上げ請求」の研究(5)

ジャーナリスト 三宅勝久

 日本学生支援機構の「奨学金」事業は日本学生支援機構法や同施行令にのっとって行われている。これらの法令に「期限の利益」という言葉はない。だから、支援機構が私の取材に回答した文書のなかに、「期限の利益剥奪」という表現を見つけたときは、正直とまどった。

 〈期限の利益剥奪通知の金額及び件数は、本照会を受け、法人文書として保存している文書を保存期間である過去3年分について集計しました〉(一括繰り上げ請求の金額や件数に関する回答文書より)

 法令にない文言「期限の利益」がなぜ使われているのか。支援機構のいう「期限の利益」「期限の利益剥奪」とはどういう意味なのか。真意を確かめるため、私は昨年(2020年)10月16日付で以下の趣旨の追加質問をした。

(1)債務者に「期限の利益剥奪」といった文言の入った通知を出しているのか。一般的な通知文の例を教えてほしい。また「期限の利益剥奪通知」による一括請求の法的根拠はなにか。

(2)借入れ時や返済時の書類のなかに「期限の利益」という言葉はあるか。

 1ヵ月以上が過ぎた2020年11月27日にようやく回答があった。

 まず、質問(1)に対してはこうだ。

 〈返・・・

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