後払い現金化ヤミ金に対し提訴した案件について

司法書士 土居正直

1 事実の概要

(1)Ⅹ(原告)は、インターネット検索で借入先を探していたところ、Y(被告)の後払いヤミ金のサイトを見つけた。

 後払い商品は3種類(A、B、C)あったが、商品には興味がなかったため、宣伝広告報酬額である1万6000円を借りるべく「B」を選んで申込みを行い、ⅩとYは、令和2年10月5日、「B」を売買代金3万2000円、令和2年10月23日支払いを約して購入。同日、宣伝広告報酬としてⅩの口座に金1万6000円が振り込まれた。

 これに対し、Ⅹは令和2年10月23日、Yに対して金3万2000円を振込んで支払った。

 以後、Ⅹは同様に3度申込を繰り返し、Yから同額の振込を受け、Yに対して支払日に同額を振り込んだ。ただし、3度目の支払日だけはYに対して金1万6000円を振込んで支払った。

(2)ⅩはYに対して、現在までに支払った11万2000円と慰謝料等を含めた13万4400円の支払いを求め、不法行為に基づく損害賠償請求(予備的請求として不当利得返還請求)の訴えを提起した。

2 Yの不法行為性

 本件は、金銭の貸渡を宣伝広告報酬、返済を売買代金の支払いに仮装するものであるが、実態は・・・

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