東京におけるカジノ誘致反対運動

弁護士(東京) 三上 理

1 東京都へのカジノ誘致の可能性

 東京都は、数年前から、カジノ施設を含むIRの東京都への誘致について、「IRにはメリット・デメリットの両面があることから、国の動向を注視しつつ、総合的に検討を進めていく」という説明を繰り返している。東京都として、誘致する意向があるのか否か、何度聞かれても、どう聞かれても、カジノを誘致するとも、誘致しないとも、明言しない。

 しかし、2019年3月、東京都の委託により作成された調査報告書(平成30年度特定複合観光施設に関する影響調査報告書)では、IRを東京に立地した場合、「東京2020大会後の観光振興や日本の経済成長の起爆剤となる可能性」と記載された。この「起爆剤」などの表現は、もともと、報告書の原案にはなかったものが、東京都の意向により追加されたことが報道されている。

 また、2019年9月には、IR認定申請に係る意向調査(観光庁)において、東京を含む8地域が「予定または検討」としている。さらに、2019年10月に公表された、東京ベイエリアビジョン(仮称)の検討に係る官民連携チームの提案書でも「東京の国際競争力強化と『稼ぐ東京』のためIR施・・・

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