カジノを含むIR誘致から横浜を守る市民の戦い

弁護士(神奈川) 松岡泰樹

1 横浜市長のIR誘致発表

 2019年8月、林横浜市長は、IR整備法に基づき横浜湾の山下ふ頭にカジノを含むIR(統合型リゾート)を誘致(以下「IR誘致」という)すると正式発表をした。そして、横浜市都市整備局にIR推進部を立ち上げ、IR誘致に向けて準備を開始した。

2 横浜市民の反対運動とカジノの是非を問う住民投票の直接請求

(1)横浜市民の反対運動

 林横浜市長は、前回の市長選の際にIR誘致を白紙とするとして選挙戦を戦い当選した経緯があった。多くの横浜市民は、林横浜市長が市民を裏切ったということでIR誘致の撤回を求め、市役所前でIR誘致撤回を求める署名活動を行うなど反対運動を強めていった。

 市民の反対運動が活発になったことに脅威を感じたのか、横浜市は、2019年12月から2020年2月にかけて横浜市の各区でIR誘致に関する市民説明会を開催した。市民説明会は、横浜市のすべての区で行う予定であったが、コロナウイルス感染症の拡大により6区の市民説明会が中止となった。開催された説明会で横浜市は、高齢化が進み今後税収の減少が見込まれること、IR誘致により横浜市の増収効果は820億円・・・

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