カネミ油症次世代被害者救済を巡る状況と今後の方向性

カネミ油症被害者支援センター(YSC)共同代表 大久保貞利

 厚生労働省はカネミ油症の次世代被害者救済に向けて調査を行うと表明しました。厚生労働省が調査を行う姿勢を見せるに至った経緯及び今後の方向性について述べます。

今回の発端

 一昨年(2019年)6月、東京霞が関の弁護士会館でカネミ被害者と支援者は坂口力元厚労大臣と会いました。その席上、坂口氏は「2012年にカネミ救済法が成立し、認定被害者の同居家族が認定され救済された。しかし次世代被害者の救済まではできていないのが心残りである。なんとか救済したい。そのためには次世代被害者に具体的な被害が出ている事例を集めることが必要だ。ぜひ調査してほしい」と語りました。この坂口発言が今回の流れの発端です。

 ここで少し説明が必要です。カネミ油症被害者が認定されるには全国油症治療研究班(以後研究班)が策定した「油症診断基準」をクリアしなければなりません。診断基準の一つに血中濃度指標があります、PCBやダイオキシン類が一定以上血中に含まれないと被害者(患者)として認定されないという指標です。事件発生後50年以上経って血中濃度指標で判定するこの方法に対して被害者か・・・

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