50年経とうが「社会的責任」を問われ続ける無責任なPCB製造企業・カネカ

ルポライター 明石昇二郎

「私たち油症患者の体内にあるのは、カネカ製のPCB」

 PCB(ポリ塩化ビフェニル)は戦後の日本で、トランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)、ノンカーボン紙(感圧複写紙)、家庭や学校の蛍光灯など、生活の隅々で利用されてきた。無毒だと思われていたからである。1960年代生まれの筆者が小学生だった頃、自宅の近所にあった文房具屋の棚には、当たり前のようにPCBを使ったノンカーボン紙の領収書や仕切書が陳列され、何に使うものなのかもよくわからないまま、パラパラとめくって遊んでいたことを覚えている。

 PCBの猛毒性が明らかになった1970年代、PCBは生産、輸入、使用のすべてが禁止されたものの、当時はPCBを無害化処理する技術がなく、PCB入り製品の所有者、すなわちPCB製品の購入者が厳重に保管しておくこととされた。

 そして50年後の現在、使わずに保管されてきたPCB入り製品は、環境省や経済産業省の指示のもの、全国各地にある専用施設で「PCB廃棄物」として無害化処理をされている。その際、PCB入り製品の所有者(購入者)は、規定の処理代金を支払っている。では、そもそもPCBを製造し、・・・

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