景品表示法の機能拡充への期待
—デジタルプラットフォーマー(DPF)と対峙する消費者の保護に向けて—

岩本 諭(佐賀大学教授 全学教育機構長 副学長)

 DPFは、多種多様な商品・サービスの供給者として、またユーザーの個人情報のコントローラーとして、その圧倒的な市場力を背景として存在する。今般のコロナ禍においてその存在意義と経済的便益がより広く認知され、ある種の不可欠施設(エッセンシャル・ファシリティ)としての定位置を確保しつつある。2020年に制定され本年2月1日に施行された「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」は、DPFによる取引相手となる事業者に向けて積極的で自律的な情報開示を促すことを主眼としており、DPFの存在意義を前提とした基本法的性格を有する。他方、同法は消費者法の保護法益あるいは消費者保護のための法律としての性格を具備していない。

 消費者庁は、本年1月25日に、「デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会報告書」を公表し、この中では、景品表示法や特定商取引法等の既存の法律の活用を前提として消費者保護のための新規立法の必要性を提言している。そこで、景品表示法に関する課題として、以下の二点を取り上げたい。

 不当な・・・

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