議論を尽くせなかった専門調査会
─地方消費者行政専門調査会報告書を読み解く─

全大阪消費者団体連絡会事務局長 飯田秀男

 2020年8月、内閣府第6次消費者委員会の地方消費者行政専門調査会報告書(以下、「報告書」)が公表された。以下にその内容を検証していきたい。

20年後の姿を見据えて

 「報告書」は、「消費者行政の現場は『地域』であり、地方消費者行政の充実・強化は、現在の消費者政策の推進における最重要課題」だと位置付けている。そのうえで、「高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据え、将来においても、消費者が安全安心な消費生活を送ることができるよう、消費者行政の目指すべき姿と、その実現に向けた基本的な考え方及び取組の方向性を整理」することを目的にした報告書となっている。

 なお、「報告書」は以下の4点をその議論の前提にしていると断っている。それは、今後の日本は、

① 人口は減少し、働き手も減少することから、消費者行政職員数は減少する。
② 高齢化率は4割程度に達し、超高齢化社会となる。
③ 人口の減少等から資源制約が生じる。
④ これらのことから地方公共団体によるこれまでと同様のフルセットによるサービスの提供は成り立たない可能性がある。

という前提である。

 「報告書」は、「今後、過去・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。