ジャーナリスト 三宅勝久
連載1回目(本誌N.o123、84~85頁)で紹介したとおり、日本学生支援機構から「奨学金(ローン)」を借りた男性Jさんは、借入総額211万円あまりを、卒業後14年間かけて払う予定だったのに、わずか3年目に全額耳をそろえて返せという裁判を起こされた。この一括繰り上げ請求をした根拠について、訴状にはこうある。
〈独立行政法人日本学生支援機構法施行令第5条第4項に、割賦金の返還を怠った者に対しては一括返還させることができる……〉
日本学生支援機構法施行令第5条第4項(現5項)を適用したということらしい。
この「一括繰り上げ請求」という回収方法に疑問をもった筆者は、類似した別の事件はないだろうかと裁判所で訴訟記録を探した。そこで見つけたのが女性B江さん(20歳代)の事件だ。
B江さんは月額10万円の貸与を4年間受けて大学を卒業する。その半年後の2010年10月から32年9月まで20年をかけて毎月約2万円ずつ返還する予定だったが、初めから延滞状態に陥ってしまう。そして支払い開始から1年後の2011年9月1日、一括繰り上げ請求をされる。延滞額は約19万円だったが、繰り上げ請求によ・・・
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