消費生活相談にみる暗号資産のトラブル

独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第2課 小池輝明

1 PIO-NET1にみる暗号資産2に関する相談の概要

 全国の消費生活センター等に寄せられる暗号資産に関する相談をみると、2018年度の3454件をピークに減少へ転じており、2019年度は2798件であった〔図〕。暗号資産に関する相談は大きく三つに分けられ、(1)暗号資産の儲け話のトラブル、(2)暗号資産の取引上のトラブル、(3)その他(架空請求等)となっており、特に暗号資産の儲け話のトラブルに関する相談がよくみられる。

(1)暗号資産の儲け話のトラブル

 暗号資産の儲け話のトラブルは、値上がり目当てに暗号資産を購入するケースや、暗号資産に関連する事業(未上場の暗号資産事業のICO(Initial Coin Offering)を含む)等に投資する「ファンド型投資商品」のケースで、「購入(投資)したが儲からない」等とトラブルになり解約や返金を求める相談がみられる。特にファンド型投資商品が占める割合が増加しており、2018年度以降は過半数となっているが、こうしたファンド型投資商品の実態は不明な場合が多い。また、暗号資産の儲け話はマルチ取引で勧誘・・・

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