ネット広告の罠─その広告、信じられる?─

(公社)全国消費生活相談員協会 九州支部 有山まり子

 「残念ながら通信販売にはクーリング・オフはないんですよ……」そんな言葉を相談者にかける場面が多くなった。クーリング・オフでの解決を期待していたであろう電話の向こうの相談者に戸惑いの気配を感じる。「通信販売は表示を見てじっくり考えた上で申し込むか申し込まないかを決めることができて、訪問販売や電話勧誘販売のように不意打ち性がないので……」と続けるものの、話しているそばからもやもやとした違和感は拭えない。昨今の通信販売、特にネット上のそれは、果たして不意打ち性はなく、消費者の自主性が損なわれることが少ない取引といえるだろうか。甚だ疑問である。

 ニュースサイトを閲覧中、突然「寝ている間に体内の脂肪を強制的に溶かして分解する」「運動・食事制限一切なしで医療モニターの98%が激ヤセした」などとコロナ太りに悩む身に訴求力の高い表現で惹きつけ、「在庫残りわずか!!」と煽り、「限定100名の特別価格終了まで残り1名」と焦らせる。さらに画面下には0.1秒で激しく変化するカウントダウン表示が出て、「この広告を見ている人は現在58人」とライバルの存在まで示唆す・・・

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