行き詰まる遺伝子組換え・ゲノム編集食品

市民バイオテクノロジー情報室 天笠啓祐

遺伝子組換え食品への逆風

 遺伝子組換え(GM)作物・食品にはいま、激しい逆風が吹いています。これまでのような消費者の反発ではなく、作物自体の問題点が招いたものです。これまでGM作物は、除草剤耐性作物と殺虫性(Bt)作物の2種類のままで、1996年以来、新たな種類の作物はほとんど登場してきませんでした。除草剤耐性作物は、ラウンドアップのように植物をすべて枯らす除草剤に耐性をもたらしました。そうすると除草剤を撒いた際に作物以外の雑草をすべて枯らすことができることから、省力化効果がありました。殺虫性作物は、作物自体に殺虫毒素を作らせるようにした作物です。害虫が作物をかじると、そこに殺虫毒素があるため害虫が死ぬため、殺虫剤を撒かなくてもすむため、これも省力化効果がありました。いずれも省力化をもたらすことから、栽培面積を拡大してきました。

 作物の種類そのものも、世界で流通しているのは相変わらずトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿の4作物にとどまっています。新たに登場してきた小麦や初めての動物食品である鮭も、うまくいっているとはいえません。このように、GM作物・食品は成・・・

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