ジャーナリスト 三宅勝久
日本学生支援機構法施行令5条5項(旧4項)は次のように定めている。
「学資貸与金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、前各項の規定にかかわらず、その者は、機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならない」(傍点は筆者)
この貸しはがし条項の発動による繰り上げ一括請求の件数と金額を日本学生支援機構広報課にただしたところ、次の回答であった。
〈「期限の利益剥奪通知」の金額及び件数:342億3465万2000円/1万6964件(2019年度)〉
なお支援機構が使っている「期限の利益剥奪通知」という言葉については後段で触れたい。
20年以内の月賦や年賦で返す予定だったのが、前倒しで何百万円もの金銭を一括で請求される。払えなければ、未請求だったものを含む残元金全額に対して延滞金が加算される。この繰り上げ一括請求が債務者にとってきわめて重大な影響のある手続きであることに異論はないだろう。だが、ことの重大さに比べて支援機構の説明は驚くほど粗雑だ。同機構のホームページを見て・・・
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