生活保護の国民感情
─物価偽装をただす─(第6回)

フリーライター 白井康彦

 前号掲載の第5回は、生活保護基準に関する名古屋地裁の歴史的不当判決をテーマにしました。物価の論点に絞りましたが、今回は「国民感情」の論点を書いてみます。

 厚生労働省は2013年、生活保護制度の日常生活費である生活扶助の基準改定を行いました。基準の平均切下率は6.5%。厚労省が改定理由としたのが、「ゆがみ調整」と「デフレ調整」。デフレ調整は、物価下落率に基準の切下率を連動させる物価スライドです。厚労省は、独自に編み出した物価指数が2008年〜2011年の3年間で4.78%下落したと説明しましたが、その3年間でそんなに物価が下がった事実はなく、私は「物価偽装だ」と追及してきたわけです。

 この件に関する私の執筆記事は、2013年春から世に出ています。物価下落率を意図的に膨らませて生活保護費を過剰削減するのは、悪質な統計不正です。しかし、その割には、私の記事に世間の注目は集まりませんでした。その理由の一つが「生活保護に関する厳しい国民感情」です。2012年春に民放テレビや週刊誌が「生活保護バッシング報道」を大展開し、もともとよくない生活保護のイメージがさらに悪化しました。生・・・

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