事業ファクタリングは貸金である
─主張骨子─

弁護士(大阪) 植田勝博

 事業ファクタリングは貸金業である。

1 給与ファクタリングの場合─譲渡人が支払義務を負う取引

 金融庁の「金融庁における一般的な法令解釈に係る書面紹介手続(回答書)」(2020年〔令和2年〕3月5日)は「給与ファクタリングは貸金業である」との見解を出し、「給与ファクタリング」が違法なヤミ金融とする注意喚起のチラシで、「『給与ファクタリング』などと称する個人の賃金債権を買取って金銭を交付し、個人を通じて賃金を回収する業務であり貸金業に該当する」との警告がされている。

 給与は、労働基準法は使用者の労働者に対する直接支払義務があり、給料債権の譲渡は、譲受人から債務者である使用者に支払いを求めることはできず、譲渡人労働者が使用者から給料を貰って業者に支払いをする。労働者の賃金債権の買取の金銭交付は、労働者が支払う約束で労働者に支払いを求める契約である。労働者への金銭交付と労働者からその支払いを受ける契約であり、金銭の貸付けと返済の約束がされている。これは、貸金業法2条1項「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」の契約に該当し、貸金業に該当する。

2 事業ファクタリング譲渡

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