宮崎地判2.10.21(控訴審) エイワ時効完成後の仮執行宣言付支払督促の確定と時効援用について

弁護士(宮崎) 佐々木美智

1 事案の概要

 本件の事実経過は以下のとおりである。

平成19年10月25日 エイワ、控訴人間で消費貸借契約締結
平成19年12月5日 控訴人による最終支払い
平成20年1月26日 期限の利益喪失
平成31年2月9日 本件仮執行宣言付支払督促確定
令和元年6月27日 本件債権差押命令
令和元年7月16日 原審訴状で、控訴人は本件債権についての時効援用

2 争点について

 本件では、①仮執行宣言付支払督促が確定したことにより、時効が中断したといえるか、②控訴人の時効の援用が信義則に反するか、が争点となった。

 控訴人は、①時効完成後に支払督促が申し立てられても、時効は中断しない、②債務の承認等エイワに支払いを期待させるような積極的行為に及んだわけではない以上、時効の援用は信義則に反しない、と主張した。

 それに対し、エイワは、①時効援用の意思表示の前に仮執行宣言付支払督促が確定したことにより、時効が中断した、②控訴人は、エイワから、合計12回も本件の支払いを求める督促状を受け取っている上、支払督促の送達も受けているにもかかわらず何らの意思表示もしなかったことから、少なくとも重大な過失により・・・

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