割賦販売法改正の動き
─テクノロジーを活用した与信審査─

消費者委員会事務局 参事官補佐 伊吹健人

1 はじめに

 決済分野では、テクノロジー進展の中、サービスや主体がますます多様化している。そのような新しい技術・サービスに対応し、利用者が安全・安心に多様な決済手段を円滑に利用できる環境を整備することに向けて、令和2年3月3日、「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同年6月16日、第201回通常国会で成立した1・2

 同法律案の閣議決定に至るまでには、消費者保護の観点から重要な論点について検討がなされた。その一つに、改正法案で導入された支払可能見込額調査に代わる技術・データを活用した与信審査があり、検討段階では指定信用情報機関の信用情報の使用義務を課さない制度も検討された。本稿では、この論点に絞って、経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会(以下、「割販小委」という)と消費者委員会の検討内容の概要を紹介する3

2 割販小委の中間整理について

 令和元年5月に、割販小委の「中間整理~テクノロジー社会における割賦販売法制のあり方~」(以下、「本中間整理」という)が公表された4

 本中間整理では、「FinTech企業による購入履歴・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。