消費者委員会「地方消費者行政専門調査会報告書」に対する意見

クレジット被害対策・地方消費者行政充実会議(「クレちほ」)事務局長 弁護士(千葉) 拝師徳彦

 本稿では2020(令和2)年8月にとりまとめられた内閣府消費者委員会の地方消費者行政専門調査会報告書(以下、「本報告書」)の概要を確認し、その問題点を指摘する。

第1 本報告書の概要

 本報告書は、将来の人口減、これに伴う消費者行政職員の減少や、地方公共団体による従来のフルセットによるサービスの提供が成り立たなくなることを前提に、高齢者人口がピークを迎える2040年ころの消費者行政の目指すべき姿を確認し、その実現に向けた考え方及び取組みの方向性を整理するものである。以下はその概要である。

1 20年後の地方消費者行政において予想される課題と展望

 本報告書は、将来の人口減、高齢化率の増加を前提に、消費者行政職員数も減少して行政サービスの供給が制約され、消費生活相談員等専門人材の確保も困難になることから、過疎地域や小規模市町村を中心とする地域において、消費者行政に係る対応力が低下する可能性があることを20年後の「課題」として指摘している。

 他方、20年後の「展望」としてICT・AI技術を消費者行政に効果的に取り・・・

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