詐欺的な定期購入商法への対応と信頼に根差した通信販売市場の重要性

消費者庁取引対策課長 笹路 健

1 現状認識

 通信販売は、デジタル化の進展等を背景に、消費者の利便性の向上や多様な選択肢の確保に大きく貢献している。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、「新たな日常」を模索する国民生活において、通信販売の重要性は飛躍的に高まっている。このため、通信販売に係る個別の取引はもとより、市場全体の一層の信頼性、透明性、公正性を確保していくことは国民共通の重要な課題と捉えるべきである。

 しかしながら、インターネット通販市場において、一部の悪質事業者による「詐欺的な定期購入商法」による消費者被害が看過できない状況になっている。独立行政法人国民生活センターによると、こうした定期購入を巡る消費生活相談について、2019年に寄せられた相談件数は、4万4000件を超える状況であり、これは、2015年の相談件数1の10倍以上の件数となっている。また、2019年における定期購入に関する消費生活相談のうち、9割以上がインターネット通販によるものであり、「お試し」「モニター」等という広告を見て申し込んだなどの内容が含まれる相談は約5割、「連絡不能」に関する相談は約3割とな・・・

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