送り付け商法等の規制の見直しにあたっての論点

弁護士(大阪) 浅野永希
弁護士(大阪) 薬袋真司

1 はじめに

 2020年8月に、消費者庁の特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会(以下、「検討委員会」という)は、特定商取引法及び預託法の見直しに関する報告書をとりまとめた(以下、「報告書」という)。この報告書の内容は多岐にわたるが、「送り付け商法」の規制に関し、次のように指摘している。

 近時の新型コロナウイルス感染症を巡る社会不安につけ込むように、自宅に留まっている消費者をターゲットとした、マスクの「送り付け商法」が問題化している。まずは、いわゆるネガティブ・オプションについては、消費者が送付された商品の代金支払義務を負っていないことの周知を強化すべきである。さらに、こうした「送り付け商法」は、何ら正常な事業活動とはみなされないものであることに鑑み、販売業者による消費者への一方的な商品の送り付けについては、諸外国の法制24も参考に制度的な措置を講じる必要がある。

24 検討委員会では、EU(欧州連合)、アメリカ、カナダの法制が紹介されている。例えば、EUの不公正取引行為指令では、消費者が注文しなかったにもかかわらず事業者が供給

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