松本恒雄(一橋大学名誉教授 (独)国民生活センター顧問)
2020年9月末に、7年余り務めた独立行政法人国民生活センターの理事長を退任した。国民生活センターが特殊法人として設立されたのが、1970年10月1日であるから、人の年齢の数え方の初日算入ルールに従えば、私の理事長退任と同時に50年に達することになる。ちなみに、1970年は大阪万博の年であり、私の大学入学の年でもある。
国民生活センターの前身は、さらにその8年前の1962年に設立された「特殊法人国民生活研究所」に遡る。研究所の機関誌である国民生活研究1巻3号(1962年)に掲載された経済企画庁調整局の安達五郎氏の「国民生活研究所法について-法律制定の意義とその内容-」によると、消費者のための施策を総合的な観点から審議するために、その前年の1961年に経済企画庁長官の諮問機関として「国民生活向上対策審議会」(1965年設置の国民生活審議会、2009年設置の消費者委員会の淵源)が設置されており、それに次ぐ2本目の柱として、国民生活に関する調査・研究を行う国民生活研究所が設立されたと位置づけられている。そして、3本目の柱として、これまでの・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。