特定非営利活動法人ひょうご消費者ネット理事長 弁護士(兵庫) 鈴木尉久
1 はじめに
本稿では、消費者が、ネット通販1のターゲティング広告2によって健康食品・化粧品・石鹸等を定期購入した場合における、不実告知取消権、クーリング・オフ、中途解約権の特商法への導入に関して立法論を述べる。
2 不実告知取消権
広告は、「勧誘」(消契法4条1項)と区別されてきたが、クロレラ最高裁判決3を踏まえると、一概にそうは言えない。
ターゲティング広告は、不特定多数の顧客に配信されているものではなく、対象とする消費者を絞り込んだうえ、当該広告によって即座に申込みをさせる意図のもとで提供され、しかもその内容は商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような内容であり、かつ、広告に表示されたリンクから誘導された申込画面によって申込みをするため、広告が消費者の意思形成に直接影響を与えて購買に直結していることが客観的に明らかで因果関係も明瞭であって、「勧誘」に該当しうる。
したがって、ターゲティング広告に不実の記載があった場合を対象とする不実告知取消権の導入をすべきである。
3 クーリング・オフ
通・・・
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