第9章 欠陥住宅

弁護士(愛知) 石川真司

 令和元年度を中心とした欠陥住宅事件等の裁判例を紹介する。

1 平成31年3月28日 東京地裁判決〔1〕

 本件建物は、昭和37年に建築された防火地域及び準防火地域にある木造2階建て建物である。
 原告は、平成25年12月、本件建物の改築工事を依頼したが、①業者が約定の期日までに工事を完成しないまま工事を中断したとして、請負契約を解除の上、既払代金から出来高相当額を控除した残金の返還を求めるとともに、②既施工部分の瑕疵補修費用等の損害賠償等を求めた。

 判決は、①の請求を認め(出来高については調停委員意見書を採用)、②については、防火戸認定を受けていないサッシで施工する旨の合意を認めた上で、特段の事情がない限り、施主と施工者との間では、建築基準関係法令に適合した工事を実施することが当然の前提になっているものと解される、本件請負契約でも同関係法令の趣旨に沿った防火窓を設置する旨の合意があったと見るのが合理的であるから同合意違反の瑕疵に該当するなどとして、他の瑕疵と合わせて債務不履行責任に基づく損害賠償を認めた(調査費用、弁護士費用等を含む)。

2 平成31年4月25日 大阪高裁判決

・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。