弁護士(東京) 荒井哲朗
第1 はじめに
今回は、本誌 120号掲載の消費者法白書で紹介された以降の裁判例(主に先物取引裁判例集81巻及び82巻に掲載されている裁判例)の中から、先物取引・詐欺的金融商品取引被害について被害救済手続実務上興味深いと思われるものについて紹介することとする(なお、裁判例の引用に当たっては、略記の説明部分、証拠や認定事実を引用する部分の記載を略しているほか文脈を損なわない程度に簡略化している部分があり、逐語引用ではない)。
第2 商品先物取引について一体的不法行為を構成させる各違法要素等
先物取引商法自体の衰退によって裁判例の数は減少しており、この傾向に大きな変化は見られない。裁判例の大勢は従前と特に異なるところはない。
1 不招請勧誘の禁止違反
さいたま地川越支判令和2年1月30日は、「法214条9号は、商品先物取引契約の締結の勧誘を招請していない顧客に対し、訪問し、又は電話をかけて、商品先物取引契約の締結の勧誘をすることを原則として禁止しているところ、顧客の招請前に、顧客に対する勧誘が行われたことを受けて顧客が勧誘を招請するなど、実質的にみて顧客からの勧誘の招請があった・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。