第5章 証券・金融商品

弁護士(大阪) 古川幸伯

第1 はじめに

 今回は、①原油ブルの説明義務違反を肯定した一審判決、②不動産投資の説明義務違反を肯定した一審判決とその控訴審判決、③取引所為替証拠金取引等の説明義務違反・過大取引の違法を肯定した一審判決と適合性原則違反を肯定したその控訴審判決を紹介する。

第2 裁判例

1 津地方裁判所伊勢支部令和元年11月28日判決〔5〕(原油ブル、説明義務違反、過失相殺7割)

 原告は、昭和 53年に被告に口座を開設し、平成24年頃まで被告と上場証券取引を行い、継続的に取引していた。原告は、平成27年4月と5月に計3回、合計約2448万円で、被告の勧誘により原油ブルを買い付けた。その際、担当者から、原油ブルの原指数が原油先物価格の上がった分の2倍動くことの説明を受けた。取引後、原指数は、上昇と下落を繰り返した。原告は、原油ブルを他社に移管して売却したところ、損失を被った。

 原油ブルは、日経・東商取原油レバレッジ指数を連動対象とする指数連動証券である。レバレッジ型指標は、原指数が上昇トレンドにある場合において、収益をさらに強く求める指標であるため、原指数の上昇を見込む場合には有利であるが、原・・・

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