民法改正と売買における契約不適合給付

本の表紙
民法改正と売買における契約不適合給付

著者:古谷貴之
発行:法律文化社
価格:7,800円(税別)

 平成29年民法改正は、担保責任の制度について、契約責任説を採用し、「瑕疵」概念を廃止し、契約不適合責任という形で制度を整理した。本書は、契約不適合責任をめぐる議論を整理し、その重要論点について、解釈論を提示する。筆者は、京都産業大学の古谷貴之准教授である。

 本書では、まず、改正民法の「契約不適合」概念を検討し、従来の「瑕疵」概念との関係を明らかにするとともに、改正法における買主の救済手段等について検討を加える。その上で、ドイツ売買法における瑕疵担保責任論と追完制度について紹介・検討を行っている。あわせて、EU売買法における契約不適合責任に関する動向を紹介し、さらに、ドイツ新売買法を紹介する。その上で、契約不適合の意義、追完制度の性格などについて検討を加え、提言を行っている。

 今回の民法改正の議論は、正直なところ、ドイツやEUにおける議論を十分に意識した検討が行われたとはいいがたいものであった。また、消費者法という観点から、契約不適合責任に関する立法措置(推定規定など)の要否についての検討はほとんどな・・・

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