水の民営化の危険

弁護士(兵庫県) 武本夕香子

第1 はじめに

 2018年12月6日、大した議論もなく、ほとんど問題意識が共有されることもなく、我々の生命にかかわる水に関する法律改正がきわめて短期間のうちに可決成立してしまった。

 それが水道法の一部改正である。

 人は水なしに生きていくことはできない。言うまでもなく、水は、私たち人間が生きていく上で必要不可欠な物質であり、生命に直結するものである。

 水は、全消費者にかかわるきわめて重要な問題である。

 今回の水道法の一部を改正する法律(以下、「改正法」という)により、今後、我々の命の源である水がどのようになっていくのか、以下見ていきたい。

第2 水の安全等に対する懸念

1 水道法改正の趣旨

 改正法の趣旨は、「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所用の措置を講ずる」ためとのことである1

 改正法の内容が改正趣旨に沿うものであれば、我々としては反対するどころか大いに賛成すべきであろう。

 しかし、私は、後述するとおり、今回の改正法の中身は、これら改正の趣旨に沿うものではないと考えている。

2 改正法

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