京都大学大学院法学研究科准教授 カライスコス アントニオス
近時、日本では、オンライン・プラットフォーム(「デジタル・プラットフォーム」と表記されることもある)の法的規制に関する議論が盛んに行われている1。この議論では、EUにおける関連する展開の分析がしばしば参照されている2。そのような中、先日、筆者は、マルク氏(Christiana N. Markou。キプロス・ヨーロッパ大学法学部准教授、キプロス共和国弁護士)から、同氏の著書『Consumer Protection, Automated ShoppingPlatforms and EU Law, Routledge, 2020』を頂戴した3。筆者もEU法について大きな関心を持って研究しており、オンライン・プラットフォーム規制に関して包括的な分析をした同書が日本での議論にも大いに参考になるのではないかと考えた。そこで、以下では、同氏の分析の主要な部分を紹介することを通じて、EUでの現在の議論動向を明らかにすることを試みたい。
1 検討対象
マルク氏は、オンライン・プラットフォーム、中でも、比較サイトとオンライン・マーケットプレイスを検討対象にする(以下、本稿・・・
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