公益通報者保護法改正法案の概要と課題

市民のための公益通報者保護法の抜本的改正を求める市民連絡会事務局長
弁護士(千葉) 拝師徳彦

 長年の懸案だった公益通報者保護法改正法案の審議がいよいよ始まりました(2020年5月20日現在)。

 以下にその概要と課題をまとめてみました。

1 法案の概要

 改正の対象箇所は多数にわたります。主な項目についてざっと触れると、
① 保護の対象となる「通報者」の拡大
・退職者(退職後1年以内)
・取締役(原則として事前の是正措置義務を果たす必要あり)② 通報対象事実の拡大・過料で担保された行政処分の理由となる事実も含める
③ 外部通報の要件緩和・行政通報については大幅緩和(氏名等を記載した書面を提出すれば「相当の理由」の要件不要に)
・マスコミ等への通報について若干緩和(重大または回復困難な財産損害を生じる場合や、情報漏洩の可能性が高い場合も可能に)
④ 内部通報体制整備義務の新設(行政措置付。300人以下の事業者は努力義務)
⑤ 公益通報対応業務従事者(内部通報の受付や調査を行う者)の守秘義務の法定(刑事罰付)
⑥ 保護の内容の強化(通報に伴う損害賠償責任の免除を追加。不利益取扱いを行った事業者に対する行政措置は入らず)・・・

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