障害のある子が成年に達したことを理由とする障害者加算の削除処分が違法であるとして取り消された裁決例(大阪府知事令和2年1月27日裁決)

弁護士(大阪) 増田 尚

1 事案の概要

 大阪府下のA市に住む被保護者(母)は、一男一女の子と同居し、生活保護を受給していた。男子は、視覚障害があり、身体障害5級の認定を受け、療育手帳B1を交付され、特別児童扶養手当2級の対象児童であり、児童扶養手当及び特別児童扶養手当を受けていた。また、女子も視覚障害があり、身体障害3級の認定を受け、療育手帳Bを交付され、児童扶養手当及び特別児童扶養手当を受けていた。

 男子は、平成30年5月に20歳に達したことから、児童手当、特別児童扶養手当の支給対象からはずれ、これにより、被保護者に対する児童扶養手当、特別児童扶養手当とも、支給額が減額された。

 これを受けて、A市福祉事務所長(以下、「処分庁」という)は、男子が20歳に到達したことを理由として、6月分以降の保護費から男子の障害者加算を削除する決定をして(以下、「本件決定」という)、これを被保護者に通知した。

 そこで、被保護者は、障害者加算を削除した本件決定には、障害者加算の支給要件の解釈適用を誤った違法があるとして、その取消しを求めて審査請求をした。

2 裁決の概要

 審査庁である大阪府知事は、令和2年1月 27日付・・・

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