弁護士(大阪) 薬袋真司
1 はじめに
本誌121号から123号において、池本誠司弁護士、上畑孝美相談員、野々山宏弁護士、森順美相談員の各論稿により、消費生活相談におけるあっせんの意義、位置づけ、重要性が明らかにされた。
私からは、少し角度を変えて、「消費者の自立」とは何かということを考え、消費生活センターでの相談・助言とあっせんの位置づけとのあり方を考えてみたい1。少々乱暴な議論になってしまっているかもしれないが、一つの問題提起として受け止めていただければ幸いである。
2 「消費者の自立」とその「支援」
2013年(平成25年)ころから、高齢者の消費者被害の予防・救済に関する取組みに関わってきたこともあり、この数年、「消費者の自立の支援」ということに関心を寄せてきた。「消費者の自立の支援」という言葉は、消費者基本法で用いられている言葉であるが、法律ではその意味内容が明らかにされていない。「支援」の対象である「消費者の自立」が一体どのようなことなのかということ自体が必ずしも明確ではないのである。しかも、この点に関する議論もあまりなされていないように思われる2。
「消費者の自立」について比較的論じら・・・
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