販売預託商法は原則禁止へ

弁護士(神奈川) 石戸谷 豊

1 原則禁止へ転換

 2020年8月19日、消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」は、販売預託商法について原則禁止とする報告書をとりまとめた。豊田商事事件以来、預託商法は、大規模な消費者被害を出し続けてきた。そのため、法整備を求める意見が多数出されてきた。預託法制定は1986年であるから、たいへん長い道のりではあったが、消費者庁は再発防止へ舵を切った。重要な局面を迎えたので、これまでの議論の経緯を振り返り、今後の課題を述べておく。

2 預託商法とは

 預託商法の元祖は、豊田商事である。その仕組みは、豊田商事が顧客に金の地金を販売して代金を受領するが、金地金は豊田商事が賃借して賃借料を支払う、契約期限には金地金を引き渡すか時価相当の金銭を支払うというものだった。

 ところが1986年に制定された預託法は、販売部分を捨象して「預託」という部分だけに着目して規制している。このため、現行預託法には、所有しているブランド品を業者に貸し出して料金を受け取る等のシェアリングエコノミー類型も幅広く含んでいる。そこで、そのような預託と区別するため、販売を伴う本来・・・

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