杏林大学保健学部教授 長谷川利夫
我が国の精神医療
日本の精神科医療機関には、2024年6月30日現在で250,525人が入院している。このうち約6割(59.6%)が1年以上の入院である。さらには、これらのうち、5年以上入院している者が33,396人、10年以上の入院が23,676人、20年以上入院が16,614人である(文献1)。
また、厚生労働省が2022年に発表した医療施設調査・病院報告によると、2022年10月1日現在の病院の平均在院日数は、全病院が27日だったのに対して精神病床は277日だった。このような我が国の精神医療は「隔離・収容型」とも「精神病院大国」とも言われることがある。患者を治療して退院させるという医療の機能を果たすのではなく、「精神疾患」をもった人を長らく入院させることが行われてきたのである。当然長く入院すればするほど現実の社会から遠のき、社会復帰しにくい状況が生まれることも少なくない。まさに悪循環である。
わが国の精神病床の推移をみてみると、1960年代には95,000床だったものが、ここから1970年代の高度成長期にかけて急増し、1994年に36万床とピークを迎えて・・・
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