弁護士(富山) 伊藤 建
1 事案の概要
厚労大臣が行った平成25年から平成27年にかけて段階的に生活扶助基準を減額する保護基準の改定(以下「本件改定」という)により、生活保護法(以下「法」という)に基づく生活扶助を減額する旨の保護変更決定を受けたXらが、各市町村に対する保護変更決定の取消訴訟と国に対する国家賠償請求を求めた事案である。
2 判断枠組み
本判決は、いわゆる判断過程審査の手法により「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等」の専門性の審査をする判断枠組みを採用した。これは、本判決が参照する老齢加算訴訟最判(最二小判平成24年2月28日民集66号3号1240頁、最二小判平成24年4月2日民集66号6号2367頁)とほぼ同一であるが、厚労大臣の裁量権が法8条1項の「委任を受けた」ものであると明示した点、立法府に広い裁量を認めた堀木訴訟最大判(最大判昭和57年7月7日民集36巻7号12235頁)を参照しなかった点で異なる。本件と同じく生活保護基準の違憲・違法性が争われた朝日訴訟最大判(最大判昭和42年5月24日民集21巻5号1043頁)の傍論の「現実の生活条・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。