中国消費者法事情(その40)
─電信ネットワーク詐欺禁止法等について(中)─

弁護士(大阪) 白出博之1

第2 2022年電信ネットワーク詐欺禁止法の主な内容2

4 電話(SIM)カード等に関する基本的管理システムを改善(補足)

 実務上、多くの詐欺犯罪が、電信ネットワーク技術を手段とされて実行されていることから、その対策には電信ネットワークに対する予防管理が不可欠であり、本法第二章では「電気通信ガバナンス」について専門規定を置いている3。中国では依然として実在する人物と電話(SIM)カードが分離する問題が突出しており、また各種原因により非実名の携帯電話が一定範囲で存在し、犯罪分子による電信ネットワーク詐欺行為を容易にしている。実名制管理こそが電信ネットワーク詐欺の予防管理における核心部分となる所以である。

第二章 電気通信ガバナンス

【電話ユーザー実名登録制】

第9条 電気通信事業者は、法に基づき、電話利用者の真実の身分情報の登録制度を全面的に実施しなければならない。

2 略

【電話カードの数量とリスク管理】

第10条 電話カードの取扱い数量は、国家の関係規定による制限を超過してはならない。

2 電話カードの取扱いに異常があることを認識した場合、電気通信事業者は確認を強化する権限を

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